【認知症になりたくない】入門編

医療創生大学 教授 スーディ K. 和代

そもそも、認知症とは何なのか?

認知症の種類には 100 以上あるといわれています。 【最近の出来事について頻繁に物忘 れ】【自宅への道が分からなくなる】などの症状が存在する状況の総称を【認知症】と呼び ます。

認知症という言葉とアルツハイマー病を同じような意味で使用する人が多いのですが、 それはアルツハイマー病という種類の認知症を発症する人達の割合が最も多いからです。 認知症全体の 70-80%を占めています。 アルツハイマー病は加齢に伴い罹りやすくなり、 特に 80 歳以降になると 3 人にひとりは罹るとされています。 現時点では、完全に治す治 療法はありません。 また、人種や国・地域と発生する率は無関係です。

ただ、他の病気と認知症に罹りやすいことの関係が近年解明されてきています。 2 型糖 尿病、高血圧症などがその例です。 つまり、これらの病気の予防が認知症に罹りにくくな ることにつながっているといえます。

では、何をしたらよいのか?

認知症発生に関係している高血圧症や糖尿病などを予防することが、認知症に罹りにく くする一つの手立てだと考えましょう。 そこで、直ぐにでも取りかかれるのが定期的な運 動です。 10代~20代の若者のような激しい運動をする必要はなく、少なくとも週に3回、 1 回に 30~40 分の少し速めの足取りでの散歩がおすすめ。 研究では、週に 2 回以下では 明確な効果が認められないという結果がでています。 その理由はよく分かっていません が、週 2 回では十分ではない、ということでしょう。 勿論、諸事情で週 2 回しかウォーキ ングできないでも、全くしないよりは精神的には良い影響がありますから、是非、可能な範 囲で続けてください。 雨や雪などで戸外の運動が難しい日は、ショッピングモールや大型 スーパー内で歩くのもお勧めです。 近くに大型スーパーなどがない場合は、家事などと組 み合わせて歩数を意識して活動するのも一案です。 近頃は、安価な歩数計もありますし、 スマートフォンなどにも万歩計機能がついていますので、家事をしながらでも歩数測定が できるので運動量の確認になります。

又、ご自宅で、定期的に血圧測定をしている方もいるでしょう。 これは大変に重要なこ とであり、良いことです。 ただ、時々、正確に測定していない人を見かけます。どのよう な値でもそうですが、正しく測定して初めて、その値を信頼することができます。 先ず、 起床したらお手洗いを済ませて、食事前に、着座して 2-3 回深呼吸をした上で測定しましょ う。 測定する場所(カフをあてがう腕や手首)と心臓の位置を同じ高さになるように調整 することが大切なポイントの一つです。 加えて、測定値の記録を習慣づけましょう。 同じ時間帯に、同じような流れで測定してください。 そうすることで、一定期間の自身の傾 向が把握できます。 また、受診するときも記録を持参することでかかりつけ医と健康状態 を共有でき、それは診断の参考資料にもなります。