感染予防の基本 3 原則

スーディ K.和代, PhD CPHQ

新型のコロナウイルスが突然日本に上陸し、時をおかずに感染症が拡大してきました。 まるで、正体不明の黒い影が後ろから覆いかぶさった感じにさえなりますね。グローバル化して便利になった分、今までは馴染みのなかった日本土着ではない病原菌が簡単に侵入してくるようになりました。

この度のコロナウイルスによる感染症を含めて、感染症予防の基本 3 原則を説明しますので、日々の生活の中に生かして頂ければ幸いです。つまり、【正しく恐れる】3 原則です。 感染症は次の 3 条件がそろったときに発生し、私たちを悩ませます。つまり、次の 3 条件が一つでも欠けていれば、感染症は成立しないということです。

  1. 感染経路
  2. 感受性のある宿主
  3. 感染源(病原菌)

感染経路とは、病原菌が宿主に行きつくまでの経路のことで、感染者のくしゃみから飛沫が 誰かの口に入る、あるいは病原菌の付着した手で他の人や自身の口などに触れる、などが例としてあげられます。言い換えると、マスクを適切に着用することや手を適切に洗うことで、 病原菌が自身の体に侵入することを防ぎ、又、他の人に病原菌を渡さないことになるのです。 つまり、交通路を遮断するのです。

感受性のある宿主について説明しましょう。病原菌が人に伝播しても感染症にかかるとは限 りません。その菌に対して感受性のある宿主でなければ感染症は成立しないのです。同じ環境にいても感染症になる人とそうでない人がいますよね。感受性は免疫、遺伝子、栄養状態、基礎疾患の有無などの諸条件によって決まります。重篤な疾患を既に患っている人や免疫力の低いひとはかかりやすくなるのは、この理由です。従って、新鮮な空気の中で運動を行い、栄養状態を良好に保つことが病原菌に対して感受性の低い良好なご自分を維持することに繋がるのです。今回のコロナウイルスの正体には不明な点は多々あるものの、集団の中に病原体が侵入した際に感染症に繋る人とそうでない人がいる事実の説明はつきますね。 従って、バランスの良い栄養を摂り体力をつけておくことです。

感染源(病原体)は、感染がどこに由来するかを示すものです。ウイルス、細菌、害虫、カ ビ、小動物など種類は様々です。今回のコロナはウイルスであり、今まで日本にはなかったとされているウイルスなので【新型】がついています。病原菌は見えないので、その存在を認識するのは難しいです。それ故に、感染源となる病原菌はどこにでもあると考えて、手洗いやマスク直用などで感染経路を断って病原菌に触れないことが大切になります。

感染管理の立場からいうと、これら3 条件の何れかを断てば感染予防は可能になるわけですので、最も合理的で対応しやすい方法は【感染経路を作らない:断つ】ことです。世界中の行き来が容易になっている現在、日本土着ではない病原体を締め出すのは困難です。

1. 可能な限り流水と石鹸で手洗いを頻繁に行いましょう。感染症が流行している時 は、通常より頻繁に、且、意識をして行いましょう。アルコールをベースにしたハンドジェルなども効果的ですが、3 回に一回は流水と石鹸で手洗いをしましょう。

2. マスクを着用しましょう。口だけカバーして鼻はカバーしていない状況や使用中 のマスクをコートのポケットに無造作に入れて、再び出して使用する姿を目にしますが、それらは止めましょう。一般的に病原菌(そうでない菌も存在しますが)は湿って温かい場所で増殖します。

3. コロナウイルスについて判明していることの一つは、人混みの中で感染しやすい ことですので、人混みを避けることで感染経路を断ちましょう。