転ばぬ先の杖

スーディ K. 和代

今回は転倒(転ぶ)予防についてお話しましょう。

小さな段差で躓いたり、意図せずに転んでしまうことはありませんか? 転倒自体が直接に命を脅かす状況を生まなくても、転んだことが原因で不安になったり、連鎖的に他の健 康問題を生じやすくなります。

地域で暮らしている人より施設に入居している人の転倒率は 30-40%高いとするデータ があります。 いろいろな理由が考えられますが、ひとつは体を動かしている時間や環境の 違いがあります。 例えば、地域に住んでいると自宅内から買い物の場、通院など複雑な環 境(段差、登坂、下り坂、電車・バスの乗り降りなど)の中で生活をしているので、運動能 力は高くなります。 施設内では動ける空間は限られていますし、バリアフリー環境を意図 的に作っていますので、動きのバリエーションも範囲も限られています。 又、転ぶことで 起こる合併症の骨折(避けたいですよね)は屋外より屋内で起こる率が高いのです。 全転 倒件数の 10-20%に骨折が生じています。 転ぶ前に予防策を講じましょう。 年配の人た ちの転倒は夜間より昼間に起こっています。 20%が夜間、特に 21:00-07:00 に発生してい ます。 転倒して骨折すると寝たきりになる率も高くなりますし、認知症の誘因にもなり得 ます。 筋力低下や精神的な影響も発生します。 地域で生活している人の方が自然光にあ たる時間と機会も多く、骨を強くするビタミン D の吸収率もよいと考えられています。 そこで、予防についてポイントを挙げてみます。

  1. 自分が現在、服用している薬の副作用を知りましょう。 副作用によりめまいや眠気が強くなる場合がありますし、中には筋力が低下をもたらす 薬もあります。これらは転倒の原因の一つとなり得ます。
  2.  副作用が予測される場合は、少し休憩をした後に活動をすると良いでしょう。大切なこ とは服用中の薬の副作用を知っておくことです。
  3. 人は一度転倒すると再び転倒することを恐れて慎重になりすぎて、結果的には運動量が 減り、慎重になりすぎることが逆に転倒のリスクを増やすことに繋がることは多くの研 究でも示されています。 従って、日常的にウォーキング、ヨガなど自分に合った運動 をしましょう。 自分の健康状態に適した運動か否か不安がある場合はかかりつけ医に 相談しましょう。万が一、一度転んでも運動や外出を諦めないでください。
  4. 運動や外出する際の適切な履物の選択も大切です。 最近では、売ることだけでなく正 しい履物の選び方など、器具を使用して丁寧に説明してくれる靴屋が増えています。
  5. 座った姿勢から立ち上がる時、立った状態から座る時、ゆっくりと良いバランスを維持 しながらゆっくりと動くことを意識しましょう。これも転倒リスクを軽減します。

他にも躓きや転倒リスクを軽減するポイントはありますが、先ずは今回お示めししたポイ ントを意識して活動してください。