第13回 『略語,若者言葉,方言』

皆様こんにちは,同志社大学の土屋誠司です.自然言語処理の第13回目の今回は,略語,若者言葉,方言について書いてみたいと思います.

略語については,自然言語処理の第5回の日本語の特徴でも書かせていただきましが,例えば英語では,ある単語の頭文字をとって略語を形成することが一般的です.日本語では,単語のある部分を切り出して繋ぎあわせることで略語を形成することが多く,より複雑であると言われています.例えば,「関西空港」は「関空」,「マクドナルド」は「マクド」や「マック」と表現されます.関西弁をネイティブとする関西人の私としては,「マクドナルド」は「マクド」なのですが...ちなみに,フランスでは「マクド」です!

略語をもっと発展させたものの一つとしては,若者言葉があるように感じます.私のようなおっさんには理解不能ですが,おっさんも昔は若者であった時代がありまして,そのころは,大人からは眉をひそめて見られるような若者言葉を使っていたものです.若者の集団から自然発生的に生まれる若者言葉も単なる流行や一過性のものだけではなく,徐々に使う人が増え,多くの人が使い理解できるようになれば,もうそれはれっきとした普通の単語として昇格します.「ダサい」などはこのような過程を辿った言葉になります.

また,方言ですが,関西弁や東北弁など日本にも多くの方言があります.地域や集団の繋がり方などに応じて様々に変化していった結果だといわれています.隣の地域と戦争状態になった場合,異なる言語を話していれば,情報が漏れることも少なく,敵味方も簡単に判別することができますから便利ですよね.

このように見てくると,若者言葉というものも一種の方言と捉えることもできるかと思います.若者という限られた集団が周りにいるおっさんやおばさんという集団から独立するため,干渉されないため独自の言葉を作り,隠語のように意思疎通を図るという高度な手段なのだと思います.このようにして,自分たちのコミュニティーを守り,アイデンティティを形成していく.そのように考えれば,おっさんの私がまったく理解できない若者言葉は大成功ということかと思います.ちなみに,若者から爆発的に広まったFacebookなどのSNSも,今やおっさんやおばさんが乱入してきたので,若者たちは立ち去り,おっさんやおばさんたちが主に使用している傾向もあるようです...略語についても,同じように考えれば,単に楽がしたいということはあるにせよ,どのように略したかを知っている仲間同士しか通用しない言葉としては,一種の暗号のように見なせるかと思います.

では,方言などの言葉と言語の境界線はどこなのか?これは非常に難しく専門家でも意見の分かれるところのようです.確かに,例えば沖縄の方で話されているいわゆる「琉球の言葉」も日本語の方言なのか,琉球語なのか...ほとんどの方言は何となく理解することができましたが,これまでの旅行先の経験で,琉球の言葉と津軽の言葉に関しては,関西人の私にはほんとにまったくわかりませんでした...

上記のように,言葉と地域や文化は切っても切れない関係にあります.そこで次回は,言語と国について書いてみたいと思います.

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