第19回 『人工知能の今後の問題点』

皆様こんにちは.人工知能の第19回目の今回は,人工知能の今後の問題点について書いてみたいと思います.

過去2回でもいろいろ問題点を挙げましたが,今後さらに問題になってくると思われるのが『大量のデータが必要である』という現状です.統計的に処理をしようとすると大量のデータが必要不可欠になります.逆の言い方をすると,データを集められない問題は解けないということでもあります.「データが集めにくいのであれば,それはそんなに大した問題ではないから無視すれば良いではないか」という意見もあるかもしれませんが,本当にそうでしょうか?

例えば,日本の人口は1億2千万人ぐらいですが,欧米や中国などと比較するとその数は10分の1にすぎません.すると,大国ではたった1か月ほどで集めることができるデータ量を日本で収集する場合,約1年もの時間がかかるということになります.データ量の勝負になってきている現状ではどう頑張っても大国には勝ちようがありません.経済力など日本は上位に位置しておりますので,あまり意識されていないかもしれませんが,大国に比べれば我々日本は非常にマイナーな集団です.そのため,海外で開発されたものを輸入して使用することになるでしょう.しかし,日本の文化は特殊なところも多いですので,海外で開発されたものを輸入してそっくりそのままの形で利用するにはやはり無理が生じると思います.少し我慢がしながら生活しなければならなくなるのは明らかです.

また,大量にデータがあるから良いのかというとそうとも言い切れない現象もあります.例えば,ある人が非常に『納豆』が大好きで毎日食べていたとしましょう.その時,ちょうど好きな人の誕生日が近く,誕生日に何かプレゼントをしようと思い立ちます.いろんな友達などに相談してみんなの意見を聞いてみると「自分の好きなものをあげると良いよ」ということになりました.「そうか!じゃ,大好きでいつも食べている『納豆』を好きな人の誕生日プレゼントにあげよう!」ということで,その人にプレゼントしました...それで良いのでしょうか?良いわけがありません.『納豆』を誕生日プレゼントに渡すのは明らかに非常識でしょう.でも,「大好きなものを人にプレゼントする」ということは間違いではないはずです.もし『納豆』ではなく『ケーキ』が大好きだったら,好きな人の誕生日プレゼントに『ケーキ』をあげようということになり大成功です.では『納豆』と『ケーキ』の差は何なのか?同じ食べ物なのに...統計だけの処理では難しい問題です.また逆に,この『納豆』が大好きな人が誕生日プレゼントを貰うことを考えると,超レアもの高級納豆をプレゼントされたら,それは大喜びということになるのかもしれません.非常に難しいですよね.

このようなことを考えると,ただ単に大量のデータから分析するのではなく,質の良いデータを元に分析する方法や少量のデータでも精度よく答えを出すことができる仕組みは必要不可欠になってくると思います.

次回は,人工知能の将来について書いてみたいと思います.