第22回 『人工知能との付き合い方』

皆様こんにちは,同志社大学の土屋誠司です.人工知能の第22回目の今回は,人工知能との付き合い方について書いてみたいと思います.

前にも書きましたが,今後は人間と人工知能とがうまく共存していくことが重要になってくると思います.「人工知能が人間の仕事を奪う」とか「人間を支配する危険因子だ」と危惧することもできます.しかし,一方で,信頼関係を築いて頼りになる便利な道具として扱うこともできます.これは接する人間次第,人間の扱い方次第かと思います.

例えば,お店でハンバーグを買うときを考えてみたいと思います.工場で大量生産された既製品のハンバーグと手作りハンバーグがあった時に,あなたはどちらが食べたいですか?多くの人は手作りハンバーグと答えると思います.この手作りハンバーグには,人間が愛情をこめて,丁寧に,おいしく作っているというイメージがあるからではないでしょうか.逆に,大量生産されたハンバーグは味が画一化されていて自分の口には合わない,おいしくないというイメージがあるからではないでしょうか.しかし,本当にそうでしょうか?変なものを混入させたり,不衛生であったりと人間が悪いことをしないとは限りません.家族が作っているのであればいざ知らず,他人がしかも密室で作ったものですよね.工場の機械でしっかり管理された環境下で生産されたものの方が信頼できることはありませんか?

それでは,もう少し情報を追加して,工場で大量生産された有名シェフ監修の高級な既製品のハンバーグと料理のできない超素人が作った手作りハンバーグがあった時はどうでしょうか?私は間違いなく既製品を選びます!このように,あくまでどう扱うのか,どう捉えるのかは我々人間次第なのです.「天然素材で作られています」と聞くと,体に良い,健康に良いなどとイメージされる方が多いと思います.しかし,「タバコ」も「大麻」も「トリカブト」もみんな天然素材です.このような自然に身についてしまっている偏見,固定観念は危険なのかもしれません.

将来的には,人体に埋め込む人工知能搭載の機器が開発されるかもしれません.体内にそんな機器を埋め込むなんて嫌だ,危険だと拒絶反応を示される方も多いと思います.しかし,現在でもペースメーカーという機器を体内に埋め込むことで,元気に生活されている方が多くいらっしゃるのも事実です.体内でなくても,義手や義足など人間の能力をサポートする機器はもうすでに結構たくさんあります.義足の選手の記録が世界記録である競技があるような世の中です.あまり,機械に,コンピュータに偏見を持たなくても良いのかなぁとも思います.ただ,そう思える世の中になるためにも,開発する技術者,研究者は襟を正して,良心を持って研究,開発をして人類のために役立つものを世に送り出して欲しいと思います.

次回は,人間がすべきことについて書いてみたいと思います.