第1回 『人工知能とは何か』 

皆様,こんにちは.同志社大学の土屋誠司です.本ページにいらしてくださりありがとうございます.今日から,情報技術に関する解説ブログを始めさせていただきます.「なんだ専門的な話かぁ」,「どうせ難しくて面白くないんだろう」とお思いかもしれません.その思いをなるべく覆すべく,できる限り優しく,イメージがわきやすいような内容にできたらと思っております.よろしくお願いいたします.

さて,第一回目の今回は,『人工知能とは何か』について書いてみたいと思います.最近,人工知能やAIという言葉を聞かない日がないぐらいのブームになっています.例えば,周囲の環境を認識してハンドルやブレーキを自動で操作する自動車や人と会話できるロボットなどが人工知能っぽいですが,それだけではなく,掃除機やエアコン,冷蔵庫などありとあらゆるものに人工知能が搭載されたとニュースで報道されています.

このような現象は,1980年代後半から1990年代前半にもありました.自動運転自動車や会話ロボットはまだありませんでしたが,掃除機やエアコン,冷蔵庫といういわゆる白物家電にはありとあらゆるものに人工知能の一つである『ファジィ』という機能が搭載された時代があります.今ではめっきり聞かなくなりましたが,当時の記憶のある方には非常に懐かしいのではないでしょうか?うちの家にもファジィ搭載エアコンがありました.

ここで疑問になるのが,「では人工知能とはいったい何なのか?」,「何のことを人工知能と呼ぶのか?」ということです.皆様はこれに対する答えをお持ちでしょうか?実は,『人工知能には定義はない』,『これが人工知能ですという説明はできない』というのが答えになります.

人工知能を扱っている研究者や専門家は非常に多く,多岐に渡っています.それぞれの方々がそれぞれ違った認識をされているというのが現実かと思います.また,専門分野によって異なるだけではなく,先の例のように時代によってもその定義は異なります.1990年代ぐらいにいわゆる『人工知能』と呼ばれていたものは,広く普及し認知されることで,当たり前の機能になります.そうするとインパクトがなくなり,企業もその機能を前面に宣伝することはなくなります.そのうち忘れ去られていき,ブームは去ります.自動扉も江戸時代の人が見たら,それはもう立派な人工知能搭載扉でしょう.現代の我々には当たりまえでなくてならないものですが.

ちなみに,人工知能を無理やり定義しようとすると,『知的な処理をコンピュータで実現するもの』でしょうか.あれ!?そう思えば,我々の身の回りにあるものの多くはコンピュータで制御されています.あれもこれも人工知能...そう!人工知能はそんなに特別なものではないのかもしれません.私はそう思っています.「人工知能に人間が支配される時代が来る」など怖い話を聞くこともありますが,案外,古くから身近にあるもの,それが人工知能だったりするのです.怖がる必要はない気がします.

ということで,次回は,人工知能の『知能』とは何かについて書いてみたいと思います.よろしければ,今後も本ページにいらしてくださいますと幸いです.

同志社大学 人工知能工学研究センター

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