第2回 『知能とは何か』

皆様こんにちは.同志社大学の土屋誠司です.前回は人工知能について書いてみましたが,第2回目の今回は,その人工知能という言葉にも含まれる『知能』について書いてみたいと思います.

そもそも『知能とは何か』.辞書的に定義すると,「物事を理解したり判断したりできる能力」,または,「環境に適応し思考を行うなどの知的な能力」とすることができるかと思います.「この動物は知能が高い」とか「この人は知的だ」などと言って表現されます.言葉で表現するのは比較的簡単ですが,それを実際のモノにしようとすると一苦労だったりします.『知的』もそうですが,『理解する』とは,『思考する』とはどういうことか?何がどうできればそう言えるのか?それをどうやってプログラムするのか?人間だと当たり前のこと,曖昧に扱うべきものも,コンピュータで扱おうとすると厳密に厳格に決めておく必要があります.コンピュータって非常に不器用なのです.

そこで工学の分野では,何をもって知的と呼ぶのかという知的の基本要素というものが定義されています.古くは『認識』,『判断』,そして『行動』ができるものを知的なものと扱ってきました.近年になって,その3要素に『学習』という機能が加わり,現代ではこれらの4要素があるものを知的なものとしています.

『認識』するためには『センサー』が必要になります.例えば,音をとらえるマイク,距離を測るためのレーザーなどがそれにあたります.センサーで認識できると,今度はそれを処理する必要があります.いわゆる『判断』をすることになります.これには『プロセッサ』が必要です.コンピュータではCPUといわれる人間における脳に当たるものがその役割を担います.そして『行動』.実際にそれらの結果を受けて動く部分が必要です.人間には体がありますが,工学ではそれをちょっと難しい言葉『アクチュエータ』と呼びます.認識して判断し,行動できればなんだか知的に感じますよね.前回のブログでは自動扉を例にとりましたが,自動扉も,人が近くに来たことを認識し,開けるべきか否かを判断し,開ける必要があると判断すると実際に扉を開けるという行動をとります.ねっ!自動扉も立派な知的な処理をする人工知能ですよね.最近の人工知能ブームではそこに『学習』することが加わり,例えば,顔や持ち物などを認識して,この人だともっと早く開けるとか,杖を持っているので長く開けるなどといったことができる.しかも,それをわざわざプログラムしなくても勝手に学習して適応してくれるものになれば人工知能搭載ということになるでしょうか.自動運転自動車にはまさにピッタリな機能ですよね.

ここでちょっと気づくのは,先に挙げた例にある「この動物は知能が高い」とか「この人は知的だ」などということは,その動物や人,またはモノに実際に知能があるのかどうかが問題ではなく,あくまでそれに関わっている人がどう感じるのか,知的さを感じるのか,知能があると思えるのかがすべてであるということです.結局は,『人がどう思うのか』ということが大事なことなのだと思います.

次回は,この便利な人工知能と産業との関わりについて書いてみたいと思います.

同志社大学 人工知能工学研究センター