第15回 『人工知能の怖さ

皆様こんにちは,同志社大学の土屋誠司です.人工知能の第15回目の今回は,人工知能の怖さについて書いてみたいと思います.

現在は,第三次人工知能ブームとなっていますが,今後,人工知能はなくてはならない技術になっていくのだと思います.いろいろな物事を学習し,我々のサポートをしてくれると便利ですよね.でも,何をどこまで学習し,何をしてもらうのかを適切に決め,制御しなければ,便利を通り越してお節介になったり,末は恐怖を覚えるようなことになったりしてしまいます.

例えば,こんな話はどうでしょうか.職場でインターネットをしていると美味しそうな食べ物の情報が出てきました.「美味しそうだなぁと思いながら見ていたんだよ」と家で夕食を食べながら話をしました.すると「あぁ,本当に美味しそうだったよね.同じ情報見たよ.」なんて話になり,すごく盛り上がりました.するとたまたま,その美味しそうな食べ物が名物になっている地方の番組がやっていましたので,「じゃぁ,旅行に行こうか」と話が弾んでいきました.ちょうどボーナス時期で家計に余裕があったのも幸いです.早速,いつも利用しているホテル予約サイトで宿を検索すると,ラッキーなことにキャンペーンが実施されており,その地方のクーポン券を手に入れることができました.偶然に偶然が重なり,お得に,満足した旅ができ,お目当ての食べ物も満喫できたのでした.

いかがでしょうか.ありそうな話ですよね.本当にたまたま,このようなことが起こるかもしれません.しかし,人工知能がありとあらゆる情報を収集していて,人々を導いていたとしたら...スマートフォンを使った検索履歴や位置情報,ネットショッピングの履歴などは簡単に収集することができます.地元のスーパーでの買い物もポイントカードなどで把握できますし,スケジュールをWeb上管理していればお互いの休みの日など分かります.また,動画の配信サービスでは、いつもどんな種類の動画を見ているかでその人の趣向を特定できるでしょう.このように収集した情報から,如何にしてその人たちにお金を使わせようかと人工知能が考えた結果,先の話のように働きかけ,人々が上記のような行動をとったとしたら,それはもう人工知能の思う壺ですよね.まぁ,使っている方々が満足しているのであれば,問題ないのかもしれませんが...でも,ちょっと考えると怖くなってしまいませんか?

すでに,我々の生活の中に人工知能は導入されてして,知らない間にお世話になっていたり,誘導されていたりしているかもしれませんし,そうされていると思います.人工知能はいろいろなところから情報を収集し,自動的に学習することができます.そして,その学習したことを通じて,我々にいろいろ働きかけてきます.このことからは,もう逃げることはできないかと思います.人工知能がしていること,していると思われることを想像しながら,しっかりと受け止めて生活していかなければならないのだと思います.何をしようとしているのかを想像できさえすれば,最低限恐怖にはつながらないのではないかと思います.

次回は,今回とは逆に人工知能の凄さについて書いてみたいと思います.