第14回 『技術と戦争』
皆様こんにちは.第14回目の今回は,技術と戦争をテーマに書いてみたいと思います.
科学技術というものは,人類にとって非常に有益なものである反面,使い方を間違えるととんでもないことになってしまう「諸刃の剣」のようなものだと思います.宇宙へ行くためのロケットも空に向かってではなく,横に飛ばしてしまうとそれはミサイルとなります.我々の生活を便利にしてくれるのも科学技術であれば,人の命を奪うのもまた科学技術です.科学技術を開発する研究者だけでなく,それを使う人も含めて,人間が心を強く持って,正しく考え,正しく行動することが最も重要なことであり,それに尽きると思います.
基本的には技術開発している研究者は良心を持って開発しているかと思います(し,そう思いたい...).しかし,その技術を使うのは,開発者ではない人間が使います.その使用者がどう使うのかということまでをも考えて科学技術の開発はしなければならないのかもしれません.さらに,開発者の思いを伝える努力をしないといけないのかもしれません.
これまでの人類の悲しい歴史を辿ると,多くの戦争・内紛が行われてきましたし,現在も進行形で悲惨なことが行われています.世界規模の大きなものとしては,1914年の第一次世界大戦と1939年の第二次世界大戦です.第一次世界大戦では,初めて毒ガス兵器が使用され,化学者の戦争と言われます.その後の第二次世界大戦では,初めて核兵器が我が国に使用され,物理学者の戦争と言われています.化学も物理学も非常に大事であり,これらの技術はなくてはならないものです.例えば,電子レンジもインターネットもコンピュータもなくてはならないものです.しかし,これらの技術も,元は軍事用途で開発された技術であり,その技術を平和利用したものです.電子レンジは大量殺戮兵器,インターネットは戦場の兵士同士が連絡を取り合うための通信手段,コンピュータは砲弾の軌道予測のために開発され,そのコンピュータを利用して,ロシア語から英語(米語)に翻訳するシステムが冷戦時代に開発されています.最近よく聞くドローンも爆撃や偵察のためのものです.現在でも海外では,軍関係の予算から大学などの研究機関に莫大な研究費が支給されています.そのため,戦争があったから科学技術は飛躍的に向上してきたというのもまた事実なのです.
今後,そのようなことは決して起こってほしくないですし,起こしてはいけないのですが,もし第三次世界大戦が起こったとしたら,情報学者の戦争になると言われています.例えば,サイバー攻撃や人工知能を使用した戦争が想定されています.様々な機器がネットワークに接続されていますので,サイバー攻撃で経済活動も我々の生活も一気に止めることができます.また,戦場では人間の兵士の代わりに人工知能搭載ロボットを導入したり,人間の能力を飛躍的に向上させるためのツールとして使用されたりするかもしれません.実際,無人偵察機がありますので,すでに人工知能もそちらの方向に動いている気もしますし,サイバー攻撃はすでに日常茶飯事のように起こっています.ビットコインの流出や企業活動の停止など経済的にも大きな打撃を受けています.これらの状況を受けて,世界規模で人工知能などを戦争で使用しない,戦争で使用するための技術開発は行わないと宣言されました.しかし,これまでの歴史を振り返ると,そのルールすら破ってしまうのが人間です...
是非今後は,命を奪う戦争で技術開発をするのではなく,自然災害などから命を救うための技術開発を推進して,平和利用を前提とした技術開発を行うことが普通となる環境を早急に作らなければならないと思います.心が弱く,自分に甘い人間ですが,過去から学び,同じ過ちを犯さないようにできるのも人間の能力なのですから...
次回は,人工知能の怖さについて書いてみたいと思います.