第8回 『情報提供』

皆様こんにちは,同志社大学の土屋誠司です.今回は,前回の話題転換のキーポイントの一つであった,コンピュータから情報を提供できる話題について深堀してみたいと思います.

前回,この情報提供について,Web上の情報などが利用できるが,その提供した情報をユーザが好むか否かを判断しなければ,話が盛り上がらないということを述べました.また併せて,対話履歴を上手く利用することも挙げさせていただきました.人間でも同じようにこのような工夫をしながら円滑にコミュニケーションを取っているかと思います.しかし,我々人間は,相手の好みにのみ合わせて話題転換をしているわけではありません.

例えば,対話相手ではなく自分の好みに合わせて話題を転換させることがあります.自分の興味のある物事に対しては,他の人に比べて,それなりに多くの,深い知識を持っていると自負していますので,話を先導することができます.自分の得意分野で話を展開できるのは,非常に気楽なことかと思います.

また別の方法としては,世間で一般的に広く話題になっている物事を対象にすることも考えられます.そこまで強い興味がなくても,目や耳にすることが多いですので,それなりに皆が興味を持っていると言えます.

前者のことを実現するためには,コンピュータ自体に個性を持たせる必要があります.技術的には,疑似的にコンピュータに個性を持たせることは可能です.しかし,ユーザがその個性を受け入れるかどうか,すべてのユーザがそれを好むかどうか,そもそもコンピュータに個性があることを是とするのかどうかは難しいことだと思われます.そのため,研究室レベルでは実現はできていますが,なかなか製品として世の中には出てきていません.将来的には,このような個性豊かなロボットが一般家庭にも導入される世の中が来るかもしれませんが,現時点ではまだまだというのが現状です.

後者については,Web上のニュース記事やSNSでいわゆるバズっている事などを参考に話題とすることができます.例えば,ニュースサイトに掲載されているニュースのヘッドラインとして,例えば「台風20号北上 連休は荒天の恐れ」とあれば,「連休は台風で大変みたいだね」などと話をふることができます.「〇〇は××で△△みたいだね」といったテンプレートを事前にいつくか用意しておき,〇や×の部分には,ニュースのヘッドラインで使用されている単語を当てはめ,△の部分にはニュースのヘッドラインの「荒天」から「大変」という言葉を連想させることで対話文を生成することができます.

次回は,ユーザに安心感を与え,ユーザとの信頼関係の構築に役立つ相槌,共感について書いてみたいと思います.