第1回 『デザイン学とは』

皆様、こんにちは。札幌市立大学 デザイン学部の柿山浩一郎です。縁あって、株式会社なごみテクノロジーさんの「なごみちゃん」キャラクターデザインを担当させて頂く機会を得ました。また、こちらの「なごみのブログ」での記事投稿の機会も頂き、有り難く思っています。なごみちゃんの誕生秘話?も絡めながら、「デザイン」をキーワードに記事投稿させて頂きたいと思います。宜しくお願いします。

 第1回のテーマは、『デザイン学とは』です。

 皆様は、「大学でデザインを学ぶ」であるとか、「デザイン学」という学問についてどのようなイメージを抱きますでしょうか。いろいろな考え方があると思いますが、1つの見解を述べてみたいと思います。

 学問について語る上では、まず「学問分野」と「領域」に関する理解をする必要があります。例えば、看護学という学問分野には、基礎看護学領域、看護管理学領域、小児看護学領域、老年看護学領域、在宅看護学領域などが内包されています。つまり、図1のように「学問分野」の中に複数の「領域」が含まれる構造となっています。

図1. 学問分野と領域

 その上でですが、学問分野はその学問分野単体で成立するのが一般的ですが、デザイン学は単体では成立しにくい学問と言えます。例えば、プロダクトデザイン領域(家電製品や自動車などの工業製品のデザインを行う領域)は、工学の一領域と関係があります。工学の知識に触れる事なく、プロダクトデザインを学ぶことは難しいと言えます。

 デザイン学の他の領域でも考えてみましょう。図2をご覧ください。

図2. デザイン学の特徴

 グラフィックデザイン領域は、表現を追求する芸術学をビジネス現場で活かす試みと言えます。地域創生デザイン領域を学ぶ際には、社会学におけるコミュニティ形成の知識無くして真の学びを得ることはできないでしょう。機器の操作などを対象とするインタフェースデザイン領域でのデザイン活動は、人の心を対象とする心理学分野内の認知心理学領域の知識の応用と考えることができます。バリアフリーデザイン領域で人にやさしいデザインを追求する際には、心身障害学分野における行動障害の知識が必須となるでしょう。近年はあたり前の概念となったエコデザイン領域では、環境学における緑化推進の試みを知っているか知らないかで、発想の質が異なってきます。Webデザインを学ぶにあたっては、どうしても情報学の一部であるHTMLやCGIの知識を学ぶ必要がでてきます。アーキテクトデザイン領域では、建築学の構造力学などの知識が基盤とならざるを得ません。

 以上のように、デザイン学は単体で成立する学問分野ではない、というのが特徴です。デザイン学を学ぶ学生には、近接する他の学問領域の知識を、どん欲に吸収する能動的な学びを行う姿勢が求められます。

 いかがでしたでしょうか。次回は、なごみちゃんを設計する際の前提として考えた、「キャラクターデザイン」に関して見解を述べてみたいと思います。今後も、本ページにご訪問頂ければ幸いです。